月華(ゆえほあ)さんの日記

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「ドゥララの昇進物語」序(1)セクハラ社長 閲覧:279回 2011年08月07日(日)
序(1)

 杜拉拉(ドゥ・ララ)は、南部出身の女子で、姿形は中の上といったところである。
大学を卒業した年、拉拉は二十歳を少し過ぎたところで、まず国営の会社で一年働いた。その会社を辞めた後は、珠江デルタ(広州、香港、マカオを結ぶ経済区) に赴いて、とある自動車部品の民間企業に就職し、業務員として勤めた。

 会社の売り上げはなかなかのもので、社長の胡阿発(フー・アーファ)は、地元の自治体から、農民企業家の旗印として扱われていた。実は阿発は、他人に「農民企業家」と呼ばれるのが一番嫌だったのに、メディアも関係部門もちっとも気が利かず、田舎町の企業も農民企業家も全部いっしょくたにして、彼を風にはためく旗印にさせてしまったのだった。

 胡阿発が学のあるインテリに恨みを持っているというのは、あちこちで噂になっていた。彼は必要であるかないかに関わらず、一群の大学生を彼の工場にかき集める。給料は悪くないし、工場での仕事も生活条件も、なかなか良い。ただし、彼等が工場に来てからしばらくすると、阿発は精神的なイジメを開始する。特に、有名大学を卒業した者や、容貌の美しい者に対しては、イジメが倍増する。しかし給料がいいので、我慢する道を選ぶ人も少なくない。

 拉拉の所属する業務部は広州にあったが、胡社長はまず彼女に各部署を順に巡らせた。生産の過程を理解して、後の業務の助けになるようにとのことだった。拉拉はあまり望んでいなかったが、それでも積極的で向上心のある素振りを装って、花都にある工場へ向かった。十日もしないうちに、阿発の秘書が病気で休みを取り、阿発はしばらく代わりをするようにと拉拉を指名した。

 ある時、拉拉は阿発の用事にお供したのだが、阿発はBMWの中で彼女にこう聞いた。
「陋室銘を暗唱できるか?」(※「陋室銘」…唐代の詩人、劉禹錫の作品)

 実際阿発は自分の知識をひけらかしたかっただけだったが、拉拉はその心理が読めず、しかもひそかに自分が完璧に「陋室銘」を空で言えることを誇らしく思っていたので、まぬけなことに本当に暗唱し始めてしまった。
「山不在高、有仙則名。水不在深、有竜則霊…」(山は高きに在らず、仙有らば則ち名あり。水は深きに在らず、竜有らば則ち霊あり…)

 阿発は怒らず我慢して、彼女が暗唱し終わるのを待ってから、彼女に尋ねた。
「この「陋室銘」は全部で何字ある?」

 拉拉は数えたことがなかったので、あっさり「知りません」と言った。

 阿発は、「81文字だ」と答えたが、その実、阿発も「陋室銘」が何文字あるかなど数えたことがなかった。ただ、彼は拉拉が絶対に文字数を知らないだろうと思っただけだった。ともかく彼は、拉拉が知らない事で彼女をやり込めなければ気が済まなかったのだ。

 拉拉は心の中でつぶやいた。
:「陋室銘」が何を言ってるか分かってればそれで十分じゃないの。何文字あるかなんて!
彼女は口には出さなかったが、顔に全部書いてあった。

 阿発は、「天子様の御顔はご機嫌斜め」という様子であった。

しかし拉拉は、仕事に関しては力を惜しまず、会社に忠誠心を持って頑張ったので、社長である阿発は内心喜んだ。
 
 阿発は自分に花を持たせてほしくて、拉拉を自分の部屋のデスクの前に呼び、自分の創業史を語り始めた。デスクの対面にいる拉拉の顔にツバの飛沫が全部飛んで来て、口も臭かった。まるまる二時間ツバを飛ばしてもまだ終わらず、米粉肉(モチ米と豚肉の料理)と経済成長の関係から、自分が大八車を引いた話まで、延々と話し続けた。
「拉拉や、お前は私が昔、どんな風に商売をしてたか知ってるかね?昼間、会社の責任者を訪ねても相手にしてもらえないと、夜、私は自転車でその責任者の家まで行った。毎日通って、その家の事情は全部把握した。そして、何か必要なことがあると、私はすぐに駆けつけて手伝った。私はその頃若くて、どんな苦労も物ともしなかった。荷物を運ぶのに、私は自分で大八車を引いたんだ。お前は大八車を知ってるか?この胡社長が自ら引いたんだぞ。」

 拉拉は、デスクの正面から横に移動する口実を探し、口臭の襲撃をかわすことに成功して、「私って超頭いい」と思った。二時間も休みなく立ちっぱなして、拉拉は体の重心を支える足を、左右で代わる代わる交代させなければやっていられなかった。日ごろ体を鍛えていないので、ついには顔が赤くなってしまった。阿発はそれを見ると、いきなり彼女の小さな手を引っ張り、自分の熊のような手で、力尽くでデスクの下に引きずり込んだ。

 拉拉がこんな事件に遭遇したのは生まれて初めてだった。
「胡社長、人に見られたらまずいですわ!」
阿発に思いとどまらせようと、続けざまに何度もたしなめた。

 阿発は、注意深く当たりに目を配りながらも、一向に手を離さずに言った。
「お前は実に可愛いね。私は感動したよ。」

 拉拉は、阿発が「感動」の二文字を使ったのは意味不明だと思った。彼女は、危機に際してたじろがない度胸の据わった女だったので、愛想笑いをして言った。
「私には彼氏がいますわ、胡社長。」

 阿発は彼女の言いかけた言葉を気にもとめなかった。
「拉拉、お前はちっとも美人じゃないぞ。分かってるか?」

 それを聞いて拉拉も大急ぎで自分をけなした。
「そうそう、そうですわ。私は肌が黒いし、痩せすぎてますよ。」

 阿発は、太った下あごを突き出して、「その通り!」と言った。

 拉拉はなだめるように、「ですから、私の手をお離しくださいな」と促した。

 阿発は不満気に言った。
「拉拉、お前は胡社長がいい加減な軽い男だと思ってるんだろ?分かってないな、どれほどたくさんの女が、胡社長を誘惑してきたか。胡社長は、彼女等を全く相手にしてこなかったんだぞ。信じないなら、これを見てみろ。」

 彼は拉拉の手を放し、デスクの下から一本の黒い棒を出してきて、説明した。
「見てみろ、拉拉!先週も、美女が私の部屋へ来て、やぶから棒に私の体にしなだれかかってきたんだ。何を言うかと思えば、『暑いから、アイスキャンデーを食べさせてくださらない?』だと。胡社長は、とっさにこの電棒(懐中電灯)をつかんで、『アイスクリームも冰棒(アイスキャンデー)もここにはない。電棒ならあるが、食べるか?』と聞いてやった。女はびっくりして逃げたよ!胡社長がいい加減な男じゃないって分かっただろ。」


★原文はこちらに載せました
http://blogs.yahoo.co.jp/dushubaibian/224773.html
http://blogs.yahoo.co.jp/dushubaibian/224792.html
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mingfu さんのコメント 2011年08月08日 08時22分
月華(ゆえほあ) さんのコメント 2011年08月08日 14時56分
もとみん さんのコメント 2011年08月09日 07時32分
月華(ゆえほあ) さんのコメント 2011年08月10日 09時46分