“带”dài、“拿”ná(郭 雲輝) ~ 【相原茂:監修】 「どうちがう?似たものことば」(89)


「似ているけど、使い方はどう違うの?」中国語の専門家達が類義語に関する話をわかりやすく解説しています。相原茂先生監修のコラムです!
目 次


●第89回

“带dài”も“拿ná”も「持つ」という意味を表す動詞であるが、両者の使い方はまったく同じだろうか?
“带”は,どちらかと言えば、「携帯する」「身に付けて持つ」というところに重点をおいているが、「携帯したまま移動する」という意味も含意されている。明らかに「携帯して移動する」「身に付けて移動する」という意味を表す場合には、“拿”に置き換えられないのが普通である。例えば、


1)我每天都带饭。(× 拿)
Wǒ měitiān dōu dài fàn.  
(私は毎日お弁当を持参する。)

2)身份证要随身带着。(× 拿)
Shēnfènzhèng yào suíshēn dài zhe.
(中国の選手は誇らしげに李寧ブランドの運動服を着て世界の舞台に赴いた)

3)你带钱了吗?(? 拿)
Nǐ dài qián le ma?
(お金を持っている?/お金を持って来ている?)


上記の例文1)、2)は“带”を“拿”に置き換えることができないが、3)における“带”を“拿”に置き換えると、どうなるだろう。


3')你拿钱了吗?
Nǐ ná qián le ma?


例3’)の場合は、使用する場面によって、「〈出かける前に言う〉お金を持った?」「お金をもらった〈受領した〉か。」「お金を取ったの〈盗んだ〉か。」というふうに意味がわかれてしまうことになるだろう。
一方、“拿ná”は、基本的に「手にする」「手で握って持つ」という意味を表すので、明らかに「手に持つ」という意味を表すときには、“带”に換えられない。


4)箱子太重了,我一个人拿不动。(× 帯)
Xiāngzi tài zhòng le,wǒ yí ge rén nábudòng.
(このトランクは重すぎで、私一人では持てない。)

5)她手里拿着一把雨伞。(× 帯)
Tā shǒuli ná zhe yì bǎ yǔsǎn.
(彼女は手に傘を持っている。)


なお、次の文では、“拿”と“带”のあとに結果補語“到/上” 或いは、方向補語“来/去/过来”などがつくことによって両方言えるようになる。“拿”の場合は、「わざわざ」持って行く、持って来るという意味になるし、“带”の場合は、「ついでに」持って行く、持って来るということになるだろう。明らかに相手の行動が分かっていて、「ついでに」やってもらいたい時には“带”を使うのである。例えば、例6’)、例7’)がそうである。また、“带” は「ついでに」の意味を持っているので、命令する時は“拿”より少し口調が軽くなる。


6)你把这把椅子拿到屋里去。
Nǐ bǎ zhè bǎ yǐzi nádào wūli qù.
(この椅子を部屋(の中)に持って行って。)

6')你把这把椅子带到屋里去。(相手が部屋に入ろうとしているのが分かっていて、頼む時に言う)
Nǐ bǎ zhè bǎ yǐzi dàidào wūli qù.
(ついでにこの椅子を部屋まで持って行って。)

7)麻烦你把剪子拿过来。
Máfan nǐ bǎ jiǎnzi náguolai.
(すみません、ハサミを取って来て。)

7')麻烦你把剪子带过来。(相手がこちらにくると分かっていて、頼む時いう)
Máfan nǐ bǎ jiǎnzi dàiguolai.
(すみません、ついでにハサミを持って来て。)

8)明天别忘了把照相机带来(/去)。
Míngtiān bié wàng le bǎ zhàoxiàngjī dàilai (/qu).
(明日カメラを持ってくる(/行く)のを忘れないでね。)

8')明天别忘了把照相机拿来(/去)。
Míngtiān bié wàng le bǎ zhàoxiàngjī nálai (/qu).
(明日カメラを持ってくる(/行く)のを忘れないでね。)


次の例9)、例10)は“带”と“拿”でいう場合もあるが、それぞれ“带上”と“拿上”の省略とも考えられる。


9)下午有雨,别忘了带伞。    → 9’)下午有雨,别忘了带上伞。
Xiàwǔ yǒu yǔ,bié wàngle dài sǎn.→ Xiàwǔ yǒu yǔ,bié wàngle dàishang sǎn.

10)下午有雨,别忘了拿伞。   → 10’)下午有雨,别忘了拿上伞。
Xiàwǔ yǒu yǔ,bié wàngle ná sǎn.→ Xiàwǔ yǒu yǔ,bié wàngle ná shàng sǎn.
(午後は雨が降るらしいから、傘を持って行く(/来る)のを忘れないでね。)


一方、目的語になるのが人間の場合は、“带”しか使えない。


11)你把他带来!
Nǐ bǎ tā dàilai.
(彼を連れて来い。)
* 你把他拿来!
(*彼を持ってこい。)


さらに、人にものを托してどこかへ持って行ってもらう場合には、“带”を使って、“拿”を使わない。何故なら、この場合は「わざわざものを持って行ってもらう」ではなく、「ついでにものを持って行ってもらう」という状況だからである。“帯”は移動が想定されていて,それに伴って「携帯」するというのが本義なので、人に物を頼むときには「負担軽減化」の原則が働き,「ついでに」という語感をもつ“帯”が使いやすいのである。


12)她托我带东西。
Tā tuō wǒ dài dōngxi.
(彼女からものを預かった。)


一方では、次に示すように、“拿”には、介詞として使用される場合、「を」に相当する用法も見られる。


13)别拿我开玩笑。 Bié ná wǒ kāi wánxiào.
(私をからかわないで/おれをからかうな)

俗語、慣用語になると、 “带”と“拿”の用法が分かれる。


◆带病坚持工作
dài bìng jiānchí gōngzuò
(病気を押して仕事を続けている)

◆带菌者
dài jūn zhě
(保菌者)

◇拿着鸡毛当令箭
názhe jīmáo dāng lìngjiàn
(取るに足りないことで偉そうにふるまう。権勢を笠に着る)

◇拿大顶
nádàdǐng 
(逆立ちする)



(執筆:郭 雲輝)




相原 茂: 東京教育大学修士課程修了。明治大学助教授、お茶の水女子大学教授を経て、
現在中国語教育の第一人者として活躍中。NHK中国語講座を長年担当。
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)を実施している中国語コミュニュケーション協会代表。

『はじめての中国語』『 Why?にこたえるはじめての中国語の文法書 』『 中国語空耳ワールド 』等、著書多数。

●相原 茂ホームページ:



中国語コミュニケーション能力検定(TECC)

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