“不用”búyòng 、“用不着”yòngbuzháo (芳沢ひろ子) ~ 【相原茂:監修】 「どうちがう?似たものことば」(60)


似ているけど、使い方はどう違うの?」中国語の専門家達が類義語に関する話をわかりやすく
解説しています。相原茂先生監修のコラムです!
目 次


●第60回

“不用”と“用不着”はともに「~するには及ばない」という意味を持つ。この両者は、コンテクスト
(文脈、前後関係)のない状況で言葉だけを取り出すならば、多くは置き換えることができる。


①不用 (○用不着)着急!
 Búyòng (○yòngbuzháo)zháojí!
(あわてることはないよ!)

②用不着(○不用)别人帮忙。
 Yòngbuzháo (○búyòng)biérén bāngmáng.
(人に手伝ってもらう必要はない)


しかし両者には微妙なニュアンスの違いがあるために、コンテクストがある中では置き換えがきか
ないことが多い。


③我的事用不着 (×不用)你管。
Wǒ de shì yòngbuzháo (×búyòng)nǐ guǎn.
(わしのことに口を出すな)


これは舞台劇(曹禺『雷雨』。以下用例は⑤と⑧以外すべてここから)のセリフの一部で “一把
抢过鞋”yìbǎ qiǎngguò xié(さっと靴を奪い取る)というト書きがこのセリフの前についている。
同じ屋敷で働く実の娘から、靴の磨き方が悪いとなじられた父親がやや腹を立てる場面で使わ
れている。文法的には“不用”も可能だが、もし“不用”を使うと、むかっ腹を立てた父親の気分は
伝わらない。

“用不着”の語気は強い。「そんなことはすることないんだ!」という強い語気である。そこから、目
的語にとる動作に対して拒否感が醸(かも)し出されることが多い。一方 “不用”の語気は中立
的で、一般に感情的色彩を持たないが、“用不着”と並べて比べると相対的に柔らかな語気に
なる。


④不用 (×用不着),谢谢你。
Búyòng (×yòngbuzháo),xièxie nǐ.
(ありがとう、でも見送りはいらないよ)


これは「お見送りします」という使用人の言葉を受けた若主人からの返事。ここでもし“用不着”を
使うと「そんなことをするな!」とけんか腰になり、使用人にも気を使う若主人のキャラクターに合わ
ない。また、この場面は若主人がけんか腰になるような場面でもない。
ただこうした挨拶の場面で“用不着”がけんか腰の言葉としていつも使えないかというとそうとは限ら
ない。たとえば家を訪れたとても遠慮がちなお客さんに


⑤你用不着这么客气!
Nǐ yòngbuzháo zhème kèqi!(そんなに遠慮しなくていいですよ!)


と言うことはできる。この時は“用不着”の強い語気が来客の遠慮を強く否定するものとなり、「(たい
した家ではないのだから)我が家でそんなに遠慮することはない」という、この場のマナーにかなったも
のになる。


⑥你回头告诉太太,说找着雨衣不用 (×用不着)送去了,老爷自己到这儿来,
Nǐ huítou gàosu tàitai,shuō zhǎozháo yǔyī bùyòng
(×yòngbuzháo)sòngqu le,lǎoye zìjǐ dào zhèr lái,
(後で奥様に、雨具を出した後それを届けてくれなくてもいいと伝えておくれ。
だんな様がご自分でここへ来られるそうだから)


ここでの“不用”は「~の必要がない」という意味で、この意味以外の感情的色彩を持たない。この
ような場面で、目的語にとる動作(ここでは「雨具を届ける」)に対して拒否感を伴う“用不着”を使
うと違和感が出る。「雨具なんて持っていくことないんだ!」という意味になり、この場面にこうした強
い感情が出てくる理由がないからである。


⑦你不用 (×用不着)说了,那是我们鲁家的阔女婿!
Nǐ búyòng (×yòngbuzháo)shuō le,nà shì wǒmen Lǔ jiā de kuò nǙxu.
(言うには及ばんさ。あのお方は我が魯家の大金持ちお婿さんだ)


「夕べお前を送ってきてくれた相手は誰だい?」と父親に問い詰められ、娘は口ごもる。父親は高笑
いを娘に浴びせた後このセリフを言う。この場面で“用不着”を使うと、娘が相手の名前を言うことを強
く拒否する感情が出て「言う必要なんかない!」というけんか腰のことばになる。この劇の中の父親は
貪欲で、大金持ちの男が娘と結婚してくれるのを待っている。娘が大金持ちの男の名前を言うことに
対して“用不着”というセリフで怒りを伝える必要性は、この場面にはまったくない。

また“不用”は単独で用いることができるが、“用不着”も単独で用いることができる。


⑧不用(○用不着)。Búyòng(○yòngbuzháo).(けっこうです)


(執筆者:芳沢ひろ子)




相原 茂: 東京教育大学修士課程修了。明治大学助教授、お茶の水女子大学教授を経て、
現在中国語教育の第一人者として活躍中。NHK中国語講座を長年担当。
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)を実施している中国語コミュニュケーション協会代表。

『はじめての中国語』『 Why?にこたえるはじめての中国語の文法書 』『 中国語空耳ワールド 』等、著書多数。

●相原 茂ホームページ:



中国語コミュニケーション能力検定(TECC)









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