“可不是”kěbushìと“就是”jiùshì(森中 野枝) ~ 【相原茂:監修】 「どうちがう?似たものことば」(49)


似ているけど、使い方はどう違うの?」中国語の専門家達が類義語に関する話をわかりやすく
解説しています。相原茂先生監修のコラムです!
目 次


●第49回

“可不是”と“就是”は、肯定・同意を表す応答語として会話によく用いられる。どちらも相手の
発話に対して「そうだ,そのとおりだ」と強く肯定するが、ニュアンスが多少異なっている。
“就是”は相手の言ったことを肯定するだけでなく、相手の発言内容を「自分も知っていた、自分
もそう感じていた」と主張する。


1)
A:真流氓,说着说着就没正经。
Zhēn liúmáng,shuōzhe shuōzhe jiù méi zhèngjing. 
本当に柄が悪いわね。話しているとすぐふざけるのだから。

B:就是(○可不是),我也觉得他们特下流。
Jiùshì,wǒ yě juéde tāmen tè xiàliu.
そうなのよ、あいつらって本当に下品よね。


“就是”を用いると「そうなのよ(わたしもそう思っていた)」という語気が前面にでる。一方“可不是”
を用いる場合、自分が相手の発言内容を知っていたかどうかは関係なく、単に相手に対する
同意・肯定を表す。


2)
A:好像要下雨了。
Hǎoxiàng yào xiàyǔ le.
雨が降りそうだね。

B:可不是(○就是),天气预报说今天要下雨。
Kěbushì,tiānqì yùbào shuō jīntiān yào xià yǔ.
そうね。天気予報では今日雨だって言ってたわ。


“可不是”は「雨が降りそうだね」というAの発言に対しての肯定。“就是”に置き換えると、「私も
そう思っていた、私も知っていた」という意味が強くなる。“可不是”は単純な同意・肯定なので、
発言内容が相手から初めて知らされた場合でも用いることができる。


3)
A:你脸上有墨水!
顔に墨がついているよ。
Nǐliǎnshang yǒu mòshuǐ!

B:(看镜子) 可不是(×就是)。
(鏡を見て)本当だ。
Kěbushì.


BはAに「顔に墨がついている」と指摘され、鏡を見て初めてその事実に気づき、「あなたの言うと
おりだ」と“可不是”を使って応答している。日本語にする時は「本当だ」などと訳した方が適切
である。“就是”は自分が知っていたことを主張する肯定なので、3)のように相手の発言内容が
未知情報の場合、用いることはできない。


4)
A:今天是我们的结婚纪念日。
今日は私たちの結婚記念日よ。
Jīntiān shì wǒmen de jiéhūn jìniànrì.

B:(看月历) 可不是(×就是)。
(カレンダーを見て)本当だ。
Kěbushì.

5)
A:这里打错一个字。
ここ打ち間違っているよ。
Zhèli dǎcuò yíge zì.

B: (一看)可不是(×就是),把它改过来吧。
(見て)ほんとだ、打ち直そう。
Kěbushì,bǎ tā gǎiguolai ba.


“可不是”を用いる場合、Aの発話内容がBにとって①既知情報、②未知情報の二つのパター
ンがある。


6)
A:好像要下雨了。
B①:可不是(○就是),天气预报说今天要下雨。
②:(看天空) 可不是(×就是)。


①は“就是”に置き換え可能。②では、BはAに「雨が降りそうだ」と指摘され空を見て初めてその
事実に気づいていることから、Aの発話はBにとって未知情報であったと考えられる。Aの発話が
未知情報だと、自分が知っていたことを主張する“就是”と矛盾してしまうため、“就是”には置き
換え不可である。

このように“可不是”は相手の発話が自分にとって既知情報でも未知情報であっても用いられる。
一方“就是”は相手の発話が既知情報の場合のみ肯定することができる。3)4)5)の例も以下
のようにコンテキストを変えAの発話内容をBにとって既知情報にすれば、“就是”を用いることが
できる。


7)
A:你脸上有墨水!
顔に墨がついているよ。

B:就是. 我睡觉的时候小孩儿弄的。
Jiùshì.Wǒ shuìjiào de shíhou xiǎoháir nòng de.
そうなのよ。私が寝ているとき、子供がいたずらをしたの。

8)
A:今天是我们的结婚纪念日。
今日は僕らの結婚記念日だ。

B:就是. 你现在才想起来?
Jiùshì.Nǐ xiànzài cái xiǎngqilai?
そうよ。今思い出したの?

9)
A:这里打错一个字。
ここ打ち間違っているよ。

B:就是.这里还有一个。
Jiùshì.Zhèli hái yǒu yíge.
そうなのよ。こっちにももうひとつあるの。


次の例では、まずBが最初の発話B①で自分の意見を述べている。Bの意見を「そのとおり、正しい」
と肯定したAに対して、Bは“就是”を用いて応答する。


10)
B①:我可不记得老师说过这事不能办。他说过吗?
Wǒ kěbújìde lǎoshī shuōguo zhè shì bùnéng bàn.Tā shuōguo ma?
僕は先生がやってはいけないと言っていた記憶はまったくないけどな。そう言っていた? 

A: 没有,我记得他当时答应得挺痛快的。
Méiyǒu,wǒ jìde tā dāngshí dāying de tǐng tòngkuai de.
言ってないわよ。とても快く承知していたと思うけど。

B②:就是。(×可不是)
Jiùshì.
そうだろう。


上の例はどれも①でBが自分の意見・予想を述べ、それをAが肯定しているというコンテキスト
がある。Bは“就是”でAの発話内容とB①で述べた自分の予想を両方肯定して、「ほらやっぱ
り、私の言ったとおりだ」と主張している。

以下に“可不是”と“就是”の意味をまとめる。

“可不是”…相手の発話内容を「そうだ、正しい」と肯定する応答語。相手の発話内容が未知
情報でも既知情報でも肯定できる。
“就是”…相手の発話内容を自分も知っていたと主張する応答語。相手の発話内容が自分に
とって既知情報しか肯定できない。

(執筆:森中 野枝)  




相原 茂: 東京教育大学修士課程修了。明治大学助教授、お茶の水女子大学教授を経て、
現在中国語教育の第一人者として活躍中。NHK中国語講座を長年担当。
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)を実施している中国語コミュニュケーション協会代表。

『はじめての中国語』『 Why?にこたえるはじめての中国語の文法書 』『 中国語空耳ワールド 』等、著書多数。

●相原 茂ホームページ:



中国語コミュニケーション能力検定(TECC)


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