“把握”bǎwò,“掌握”zhǎngwò (劉穎) ~ 【相原茂:監修】 「どうちがう?似たものことば」(46)


「似ているけど、使い方はどう違うの?」中国語の専門家達が類義語に関する話をわかりやすく
解説しています。相原茂先生監修のコラムです!
目 次


●第46回

いずれも「手に握る」という意味ではあるが、“把握”は「手で物をしっかりと掴む」意味に重点が
置かれ、“掌握”は「掌に物をしっかりと握り締め、コントロールする」意味に重点が置かれている。
従って、たとえ置き換えが可能でも、意味のニュアンスが異なってくるのである。


1) 船老大把握/掌握船舵。
Chuánlǎodà bǎwò/zhǎngwò chuánduò.
(船主は船の舵を取る。)


どちらも「舵を取る」という意味だが、“把握”と“掌握”のニュアンスの違いにより“船老大把握船舵,
掌握着航向。”(船主は舵を掴んで針路を掌握している)と言っても可笑しくないが、これを逆にした
“船老大掌握船舵,把握着航向。”は不自然な文になる。

また、派生的な用法も異なってくる。

「時期やチャンスを(見逃さずに)掴む・捕らえる」ことを表すときや、本質的なものを掴む」意味を表す
ときには、“掌握”よりも“把握”を使うのが一般的である。


2)向女朋友表白要把握时机。
Xiàng nǚpéngyou biǎobái yào bǎwò shíjī.
(ガールフレンドに告白するにはタイミングをとらえなければならない。)

3)不能把握买卖股票的时机就千万不要炒股
Bù néng bǎwò mǎi gǔpiào de shíjī jiù qiānwàn bú yào chǎogǔ.
(株の売買のタイミングがわからなければ絶対株をやってはいけない。)

4)看问题要把握其本质。
 Kàn wèntí yào bǎwò qí běnzhì.
(問題を考えるときにはその本質を掴めないといけない。)


一方,「掌中におさめ,自在に駆使する,コントロールする」という場合は“掌握”を使うのが一般的である。


5)家长希望孩子能掌握各种本领。
Jiāzhǎng xīwàng háizi néng zhǎngwò gèzhǒng běnlǐng.
(親は子供が多くの才能を身につけてほしいと願っている。)

6)妈妈掌握着我们家的“经济大权”。
Māma zhǎngwò zhe wǒmen jiā de jīngjì dà quán.
(母は我が家の家計をとり仕切っている。)

7)警察已经掌握了犯人的行踪。
Jǐngchá yǐjing zhǎngwò le fànrén de xíngzōng.
(警察はすでに犯人の動向をつかんでいる。)

8)今天的大会由他掌握。
Jīntiān de dàhuì yóu tā zhǎngwò.
(今日の大会は彼に司会してもらう。)


2)~4)は、基本的には「しっかりと掴む」ことを強調しているのに対して、5)~8)は、「完全に自分
のものとして握り締め、かつそれをコントロールしていく」ことを強調している。

また“把握”は、「(成功などを掴む)見込みや自信」を表す名詞としても用いられる。


9)这次谈判成功的把握很大。
Zhè cì tánpàn chénggōng de bǎwò hěn dà.
(今回の商談は成功の見込みが大いにある。)

10)明天的考试我没有把握。
Míngtiān de kǎoshì wǒ méiyǒu bǎwò.
(明日の試験には自信がない。)


“掌握”にはこのような用法はない。

(執筆:劉穎)  




相原 茂: 東京教育大学修士課程修了。明治大学助教授、お茶の水女子大学教授を経て、
現在中国語教育の第一人者として活躍中。NHK中国語講座を長年担当。
中国語コミュニケーション能力検定(TECC)を実施している中国語コミュニュケーション協会代表。

『はじめての中国語』『 Why?にこたえるはじめての中国語の文法書 』『 中国語空耳ワールド 』等、著書多数。

●相原 茂ホームページ:



中国語コミュニケーション能力検定(TECC)



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